ソフトウェアの品質を学びまくる2.0

ソフトウェアの品質、ソフトウェアテストなどについて学んだことを記録するブログです。

「保守性」と「拡張性」が複数の意味をもっていそうなので調べてみた

『アジャイルメトリクス』を少しずつ読んでいます。 アジャイルメトリクス作者:Christopher W. H. Davis翔泳社Amazon 職業がら、最初をすっ飛ばして「品質」の項から手を付けていることもあり、なかなか歯ごたえのある(つまりわたしには難しい)本だなーと…

JaSST'23 Tokyoで、テスト管理ツールの話をしてきました #jassttokyo

2023年3月9日・10日に開催されたJaSST '23 Tokyoで、『テストウェアのデータモデル』というタイトルの発表をしてきました。セッションのパートナーは、朱峰錦司(きんぢ)さんです。 発表の背景 以前に比べてだいぶ普及してきたテスト管理ツール。しかしテス…

ソフトウェア仕様についてChatGPTに相談してみる

ChatGPTでテスト設計してみた記事と、そのアンサーソングを見つつ、また色んな人が色んなことをやってみた記事をみてChatGPTのすごさがあらためて伝わってきました。両方ともとても面白い記事です。 zenn.dev nihonbuson.hatenadiary.jp 一方、わたしのは埋…

リスキリングに関する「あのグラフ」は、何を表現したかったのかの勝手な推測

マイナビの記事で掲載されたグラフが難解だと、Twitterで話題になっていました。 元記事はこちらです。 https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230215-2592553/news.mynavi.jp この記事では「リスキリング」という言葉がどのくらい認知されているかにつ…

#devsumi で「テストを学んでみたい開発者のためのソフトウェアテスト読書マップ」という発表をしてきました。

Developers Summit (デブサミ) 2023で、「テストを学んでみたい開発者のためのソフトウェアテスト読書マップ」という発表*1をしてきました。 event.shoeisha.jp 資料はこちらです。 speakerdeck.com これまで、ソフトウェアテストとかQAの世界でばかり聴講や…

2022年後半に読んで特によかった本

10月に「2022年度上期」版を書いてしまったのですが、こういうのって「年度」じゃなくて「年」単位で書くっぽい! なので、2022年10月~12月の3か月分で書きます。年度上期分は以下。 www.kzsuzuki.com 漫画 ピアノの森 ピアノの森(1) (モーニングコミッ…

JaSST nano vol.19で『ISO/IEC/IEEE 29119-11からAIシステムのブラックボックステストについてメモってみたの』というタイトルで発表しました #jasstnano

タイトル長すぎてすみません。 発表資料はこちらです。 speakerdeck.com vol.19は、わたしが発表予定を確認した時点では石川冬樹先生の「画像生成AIのQAを考えてみる」しかエントリーされておらず、「専門家の話を聞く前の前座として、AIのテストについての…

五匹の猿と、テストの「意図」

最近、「5匹の猿の実験」(the Five Monkeys Experiment)という話を知りました。有名な話なのかもしれませんが、全然知らなかったので紹介してみます*1。 本当の実験というよりは、寓話的なもののようですが、ともかく以下のような内容です*2。 5匹の猿の実…

テストエンジニアのジョークを調べてみた

みなさん、こんにちは。 この記事は、「ソフトウェアテストの小ネタ Advent Calendar 2022」 9日目の記事です。 qiita.com ChatGPTに生成させたと思しきジョークが、テストエンジニアのブログで紹介されていました。 以下は、その日本語訳です。 天国行きと…

ソフトウェアテストで学ぶ比喩表現

みなさん、こんにちは。 この記事は、「ソフトウェアテストの小ネタ Advent Calendar 2022」 8日目の記事です。 qiita.com 唐突ですが、比喩表現って種類が多すぎますよね。 文学的なみなさんは、その使い分けにお困りのことと思います。 直喩、暗喩、換喩、…

ユーザビリティを考えるうえでヒントになりそうな『バグトリデザイン』

みなさん、こんにちは。 この記事は、「ソフトウェアテスト Advent Calendar 2022」 7日目の記事です。 qiita.com 「バグトリ」という言葉に惹かれて読んだ、『バグトリデザイン』という本を紹介します。 バグトリデザイン 事例で学ぶ「行為のデザイン」思考…

2022年度上期に読んで特によかった本

上期に読んだ本の中で特によかったものを、Twitterに放流した感想を流用しながら、紹介していきます。 技術書もたくさん挙げられるといいのですが、技術書って「読み終わる」じゃなくって、「読み続ける」感じなので、完結したレビューが書きづらいんですよ…

テストケース管理ツールとスプレッドシートでは、テスト管理の何が違うのか

テスト管理ツール導入を検討するにあたって、「Excelと比べて何がいいのよ?」という疑問は挙がって当然でしょう。 ツールベンダからの情報はけっこうあるのですが、ユーザからの情報ってあんまりないんじゃないかと思って、ちょっと書いてみました。導入の…

『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』に答えられないからチェックリストを使うしかない

信頼できる読み手がTwitterで言及しているのを見つけて読んでみました、『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』。 期待通り、とってもいい本だったので紹介してみます。 アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの…

ソフトウェアテスト分野のFizzBuzz、「Myersの三角形問題」に学ぶ、テストについての教訓

テストエンジニアの多くが一度は耳にし、解いたことがあるであろう「Myersの三角形問題」。 社内のソフトウェアテスト勉強会で、n年ぶりm回目で解いてみました。 この10分ほどのトライを通じて、以下のようなことを再認識しました。 Myersの三角形問題とは M…

有志と #ソフトウェアテスト読書マップ を作りました!

2022年9月9日にこんなツイートをしたところ、 ソフトウェアテストの書籍・資料について、こういうマップを作ってみたい。「QA関連」でできるといいんだけど、縦軸が定まらない。一番繰り返し読んでいるドリル本をサンプルにしてみたけど、テスト分析自体がす…

勝手版 #ソフトウェアバグの7原則 Ver.1.0をリリースしました。

ちょっと前の話、「ソフトウェアテストの7原則」のオマージュとして、「ソフトウェアバグの7原則」というのを思いつきました。 キッカケは冗談だったのですが、思いのほかいろんなアイデアをいただきまして、「ならちゃんとやろう!」として、「ソフトウェア…

JaSST nano vol.15で『殺虫剤のパラドックスの真実』というタイトルで発表しました #jasstnano

JaSST nanoで発表しました。 jasst-nano.connpass.com ソフトウェアテストを学んでいると必ず出会う「殺虫剤のパラドックス」、何がパラドックスなの?と思ってつぶやいていた時に、辰巳さんにコメントをいただいたのがキッカケです。 ISTQBの記述がBeizerの…

ISTQBの「性能テスト担当者」シラバス日本語版を読んでみた - その2

今回は、1.2で扱われている、性能テストのテストタイプについての記事です。前回の記事はコチラ。 性能テストにはさまざまなテストタイプがあるので、1つのデファクト・スタンダードとしてISTQBが整理してくれているのはありがたいことです。 またこの部分に…

ISTQBの「性能テスト担当者」シラバス日本語版を読んでみた - その1

JSTQBから、性能テストのシラバスの翻訳が出ました。 ついつい当たり前に思ってしまいがちですが、テストの知識のデファクト・スタンダードといえるISTQBのシラバスが日本語で読めるというのは、本当にありがたいことですね。訳者のみなさまに感謝。 jstqb.j…

コープランド本の例題から、ブラックボックステストとホワイトボックステストを考える

プレスマンの白本*1・「第19章 ソフトウェアテスト - コンポーネントレベル」の「19.5 ブラックボックステスト」には、以下のような説明があります。 ブラックボックステストテストはホワイトボックステストの代替ではない。むしろ、ホワイトボックステスト…

JaSST '22 Tokyoの発表資料を公開しました #jassttokyo

JaSST '22 Tokyoで、翻訳メンバーとして参加した『実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』のセッションを担当しました。長過ぎるタイトル*1と概要は以下のとおりです。 「ソフトウェア開発にかかわる全てのエンジニアの一般教養「ソフトウェアエンジニア…

ドキュメントテストって一見地味だけど、とても大事ですね

JaSST '22 Tokyoのセッションの中で、『プレスマンの白本』*1の「21.12 ドキュメントとヘルプ機能のテスト」で言及されている、「ドキュメントテスト」*2についてお話しました。 実践ソフトウェアエンジニアリング(第9版)作者:Roger S. Pressman,Bruce R. Ma…

JaSST '22 Tokyoの2日目でお話します。

開催までもう1週間を切ってしまったのですが、3/10(木)から2日間開催される、JaSST '22 Tokyoのセッションの1つで、おはなしさせていただきます*1。 jasst.jp タイトルがめちゃめちゃ長いです。 「ソフトウェア開発にかかわる全てのエンジニアの一般教養「ソ…

"test quality into the product" という不思議な言い回しをどう解釈すべきか

miwaさんのこちらのツイートに、ソフトウェア品質・テスト関係の方々がいろんな意見を寄せていました。ぜひスレッドを追ってみてください! "テストのビジネスのことわざで「製品の中で品質をテストできない」"ここでいう"製品の中"というのは"開発全体のフ…

【読書メモ】発想の組み合わせが面白い本2冊

ショートショートの大家・星新一は、その膨大な作品のもととなった発想の源泉について、「アイデアは、異質なものを結びつけるところから生まれる」と語っています。また、「技術革新」と訳される「イノベーション」は、実は既存のモノやコトの組み合わせか…

テスト管理ツールにおけるテストケースのグルーピング

はじめに テストケースの数が多くなってくると、それらをグルーピングする必要が生じます。 たとえばExcelテスト管理パラダイムであれば、ワークシートに「大分類」「中分類」「小分類」という列を設けて、階層構造を表現することが可能ではあります*1。 で…

テスト管理ツールにおけるテストケース管理

この記事は、「ソフトウェアテストの小ネタ Advent Calendar 2021」の26日目の記事(自称)です。 きんぢさんのブログ記事、「テストケースを束ねしもの -とあるテスト管理ツール開発者の気づき-」に触発されて、テストケースの「束ね方」について、私見を書…

『実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』を訳して、日本語の難しさを知る

『Software Engineering - A Practitioner's Approach - Ninth Edition』の日本語版・『実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』が発売されました。 わたしは「SEPA翻訳プロジェクト」の1メンバーとして、第3部「品質とセキュリティ」の3章分の翻訳と、周…

テスト自動化による効果としての工数削減を絵にすると

最近ポエムしか書いていないのですが、今日も元気にポエム as a excuse(言い訳としてのポエム)です。 「テスト自動化の目的は工数削減!」というのは筋悪な思考と言われがちですが、それをあえてお絵描きしてみました。 工数削減だけが嬉しさ? これまで、…