例題で学ぶ統計的方法
いかにも大学の教科書に使われそうな、シンプルで癖のない内容。1つの章が短く、細切れで勉強するのによさそうです。統計の教科書のスタンダードな構成は知りませんが、学習する内容の順番も、手堅いもののようです。
完全独習統計学入門
- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2006/09/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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表紙から想像される退屈さとは裏腹に、わたしが一番気に入っている統計の本。
初歩の初歩からスタートしながらも、「検定」や「区間推定」という統計学の1つのゴールに最短時間で到達することを目指します。
第1部では、「標準偏差」が統計で最も重要な概念であるいう軸を据えて、著者が重要なこと、本質的なことに多くの紙面を割く。たとえば、確率の話は意図的に、まったくといっていいほど出てこない。正規分布といえばまずコイン投げの二項分布から始まって・・・というのがアリガチなパターンですが、この本、二項分布という言葉が索引に出てこない。そのくらい徹底しています。
常に、「何故今、こんな概念を持ち出すのか。現実の世界で何をしたいから、こんなことを考えるのか」ということを確認し、最終ゴールを常に見据えながら話が進んでいくので、とてもいい。第2部は読み込んでいませんが、流し読んだ限りでは、わたしでも最終ゴールにたどりつけそうな予感がしました。経済学の先生ということで、ボラティリティ、シャープレシオといった概念の説明も入っています。
今日から使える統計解析
こちらは、かなりくだけた口調ながら、実用に向けた説明には手を抜かない入門書。笑いのセンスが10年単位で古いのが逆に笑えるのも特徴。
前半の構成は、割とオーソドックスな流れと思いますが、内容はくどいくらい噛み砕いている。シンプルにすることで、かえって空疎な印象を与えがちなテキストが多い中、けっこう大事なポイントだと思います。
真ん中くらいにはもう推定・検定が出てきて、後半には実験計画法のダイジェストにも至っています。で、最後に相関分析。こういう流れは少し珍しいかも。品質管理系の人向けかも知れません。
ハンバーガーショップで学ぶ 楽しい統計学
- 作者: 向後千春,冨永敦子
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2007/09/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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これ、表紙からして軽い内容っぽく、実際かなり柔かいです。ハンバーガー屋さんを舞台にして、店長が悩む。「うちのポテトは他店より短いのか?」という疑問から平均・標準偏差、「何本かポテトを取り出して、全体の長さの平均はわかるかな?」から推定、「新商品の新しい味はどれは売れそう?」から検定と、1つの物語になっています。これもまた、「統計には色んな概念があるけど、結局どういう要求があって使うのか、いまいち・・・」となるのを防ぐ、いい方法だと思います。
分かりやすさ、読者をおきざりにしない配慮では、3冊どれもいいと思います。しかしどの本もカバーしている範囲が違いますので、目次も見てみてください。個人的には、「完全独習 統計学入門」がお勧めです。
統計・『R』に興味のある方は、勉強会へのご参加もぜひ!