ソフトウェアの品質を学びまくる

ソフトウェアの品質、ソフトウェアテストなどについて学んだことを記録するブログです。

【本】タイトルはともかく、内容は理系おとーさん向け科学本

 想像してみてください。
 何万年ものあいだ、太陽の周りの巨大な軌道をたどり続けてきた彗星の一部が、あるとき地球の引力に捕らわれて流星となり、大気圏を突き抜け、猛スピードで地表に激突する・・・。
 さてこの時、その隕石はどんな様子でしょう。
 素手ではとても触れないような高温を帯びて、「ブスブスブス・・・」と熱を発し、場合によっては乾いた草や木に火をつけて火災を起こす・・・そんなイメージがないでしょうか。
『イケナイ宇宙学』 P.191
 衝突のときあるいは直後には、流星物質の内部の超低温が外の部分も冷やしてしまっているのだ。だから小さな流星物質は火災を発生しないどころか、その多くは実際に発見されるときには霜に覆われている。
 落ちてきた隕石は、熱くなんかない。
 このように、俗説や思い込み、SFの誤った科学考証などから、たくさんの誤りが生まれます。
 よくあるものでいえば、宇宙空間における戦いによる、爆音。空気がないのでそんな音が響かないということは、『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』においてすら夢のない注意書きがなされるほど知られています。

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 でもたとえば、バスタブの栓を抜いたときに現れる、水の渦の向き。北半球と南半球では、コリオリの力の影響でこの向きが逆になるというのは、どうも本当らしく聞こえる。これは、本当なのか嘘なのか・・・。
イケナイ宇宙学―間違いだらけの天文常識

イケナイ宇宙学―間違いだらけの天文常識

  • 作者: フィリップ・プレイト,江藤巌,斉藤隆央,熊谷玲美,寺薗淳也
  • 出版社/メーカー: 楽工社
  • 発売日: 2009/03/01
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  本書『イケナイ宇宙学』は、宇宙や惑星に関するたくさんの間違いや誤解を、ていねいに解きほぐしていくことをテーマとしています。

 確かに、『Bad Astronomy』という原題に対し、『イケナイ宇宙学』というタイトルは恥ずかしい。『ヤバい経済学』の二番煎じの匂いが漂いすぎているし、「Astronomy」は「宇宙学」より「天文学」じゃないか。
ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]

  • 作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2007/04/27
  • メディア: 単行本
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  そんな気もしますが、内容はいたって硬派。現象の裏側にある理屈を、ジョークとアナロジーを交えてかなりしっかり解説。その割に、各章は意外なほどコンパクトにまとまっていて読みやすい。粗すぎず、詳しすぎずの塩梅がちょうどよいのです。

『イケナイ宇宙学』 P.61
 どんな親も普段の生活のなかで、子どもから必ずと言っていいほど「なぜ空は青いの?」という質問をされる。
 その時に備えて、久しく忘れていた科学のことも思い出してあげましょう。わたしはこの「なぜ青い?」の第4章を、3回も精読しましたよ。