ソフトウェアの品質を学びまくる2.0

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【本】検索という行為が変える、知の有り方とは

 googleという企業について書かれた本は少なくありませんが、企業や技術ばかりでなく、「検索」という行為そのものについて、読み応えのある論評をしているのが本書です。

ネット検索革命

ネット検索革命

 

  webや検索の爆発的普及を近視眼的には捉えず、古代から連綿と続く「知の有り方」の歴史における1つの現象、と位置づけて読みといていく展開が素晴らしい。数多くの引用がありますが、その多くは、インターネットなど存在しなかった頃のものなのです。

『ネット検索革命』 P.44
 今から2千年以上も前、プラトンが既に、コミュニケーション技術が人間自体を変えてしまうこと、この変化は必ずしもよい方向とは限らないことを論じている。プラトンの『パイドロス』では、文字の読み書きは「覚えること」より「読むこと」に人間の能力を向かわせ、記憶力の減退をもたらすと説いているのだ。
 プラトンが、「書くこと」は人間の能力を損なわせると考えていたとは・・・。新しい技能の獲得が、進化につながるとは限らないということでしょうか。
 検索はすでに、「覚えること」どころか「書くこと」すら否定しつつあります。書くべきことはすでに、webのどこかに書かれている。必要に応じて、それを検索するだけでいい。
 その結果検索エンジンは、世界中の人間の巨大な「意図のデータベース」(John Battele)となっていきます。
『ネット検索革命』 P.9
 われわれは多数の事柄を検索エンジンに尋ねているが、逆に検索エンジンがわれわれに尋ねる事柄は何だろうか? 
 検索エンジンは我々のことを知りたがり、我々の行為と相互作用し、変化していきます。
 その行き先を著者は、自動的に収集・索引化される、現在主流の検索エンジンでなく、ユーザの手が検索の結果に介在するソーシャブル・サーチに求めているようです。
 検索は今後、本来の意味で有益なものになるのか。
 ハードカバーでそれなりに厚く、装丁も固めな本書ですが、驚くほど読みやすいのは、論理展開が練られているからか、訳者の実力か。googleストリートビューやブック検索のような最近の問題ばかりでなく(その話も載っていますが)、もう少し俯瞰的な視点で検索について考えたいという方にオススメです。