同値分割と境界値分析は、セットで学ぶことが多い技法です。でも、どんな同値クラスにも境界値があるわけではありません。
たとえば、世界各国を同値分割することを考えましょう。
日本を「アジア」、エジプトを「アフリカ」、のように「地域」という切り口で分けていく場合は(「地域」をどうMECEに分割するかという問題はあるにせよ)、各クラスに境界はないでしょう。
では、どういったケースが境界値分析の対象になるのでしょうか。
パッとイメージするのは、「分割の対象になる各値が、一本の線の上に乗っている」というものです。数字が一番わかりやすくて、数直線上に乗っています。また、スポーツ大会のメダルは「金」「銀」「銅」と数字ではありませんが、一本の線の上に並べることができるでしょう。
ちょっとそれっぽく書くと、
- 取り得る任意の2つの値aとbを取り出したとき、何らかの基準に基づいて、a>b、a=b、a<b のいずれかであることが一意に決まること
- a>b かつ b>c のとき、a>cであること。*1
みたいな感じになるでしょうか。
世界各国の同値分割でも、「国名を英語表記にした1文字目(の文字コード)」、「国の首都の経度」*2のような切り口であれば、境界値分析を適応しうるでしょう。
統計学において、変数の性質を分類する方法として、4つの尺度があります。統計Webというサイトから表を引用します。
分類 | 尺度 | 意味 | 例 |
---|---|---|---|
質的データ | 名義尺度 | 他と区別し分類するためのもの | 男女、血液型、郵便番号 |
順序尺度 | 順序に意味はあるが間隔には意味がないもの | 1位/2位/3位・・・、1.好き/2.ふつう/3.嫌い | |
量的データ | 間隔尺度 | 目盛が等間隔になっているもの | 温度、知能指数 |
比例尺度 | 原点があり、感覚や比率に意味があるもの | 身長、速度 |
この4つの尺度のうち、名義尺度以外は上述の条件に当てはまりそうです。
単純には、「取り得る値同士に順番性がないものには、境界値分析は適さない」といった方が早いかもしれません。