ソフトウェアの品質を学びまくる

ソフトウェアの品質、ソフトウェアテストなどについて学んだことを記録するブログです。

【本】老いてますます健在というところかな

 「じじい」という言葉はふつう、罵倒の意味を含んでいるもの。老獪な古強者に対する若者の反発はしかし、無自覚な畏敬をときににじませます。たとえば・・・、

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●承太郎から見たジョセフ

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●赤木から見た市川

 今頃になって夢中になっている将棋マンガ・『3月のライオン』。これが滅法面白い。

 棋士としての戦いと、高校生の少年とその周りの人々が生きる姿を描く話のバランスが素晴らしいのです。また、感じ悪いキャラを出してそいつを負かして溜飲を下げるのではなく、それぞれのキャラのバックグラウンドも作りこんで、勧善懲悪的な単純な構図に落とそうとしないしつこさも、女の子のあざとい可愛さも、やたら騒々しいギャグも、見事という他ありません。

 その『3月のライオン』にも、「じじい」が登場します。島田九段が、通算十期で「永世」を伺う棋匠に挑むシーンです。

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 現役最高齢である棋匠が、「若々し過ぎる」とは・・・。しびれる。

 この巻と並行して読んでいるのが、宮内悠介氏の『盤上の夜』。囲碁・チェスといったボードゲームに、SFの要素を掛け合わせるという素敵な試みの短篇集です。

 大げさなSF的ギミックが出てくるわけでもないし、派手な展開やどんでん返し・伏線回収があるわけではないのですが、「ゲーム」という素材を十全に、丁寧に活かした各ストーリーは秀逸そのもの。「囲碁」「ブレイン・コントロール・インタフェース」「言葉の爆発」、これらの言葉からどんな話が紡がれるか、想像できますか?

 この短編の一つに、「チェッカー」というゲームで現役最強の老プレイヤーが、コンピュータ「シヌーク」と対戦する話があります。この老プレイヤーは最強がゆえに、負けを避けるために引き分けに持ち込もうとする人間との対戦に倦んでいましたが、勝つことだけを目指すシヌークとの戦いでこう言っている。

シヌークとの勝負では、まるで若者に戻ったかのような気分だった。

 戦い続ける古老が、新たなライバルを得て若返る。かっちょいいですよね。

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●蟻の「王」に対峙するネテロ

 常に挑戦を続けることは時に若者に疎まれ、場合によっては老害と罵られるのかも知れません。
 『アカギ』で、老害の象徴のような存在に成り下がったかに見えた鷲巣様。ストーリーも冗長に冗長を重ねて腐りきっていましたが、ついにクライマックスかというところで、鷲巣様は本来の矜持を見せました。血を抜かれて死に至ろうとも、自分という男の信念は曲げないのです。

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●血の代わりに金をという部下を叱りつける鷲巣様

 そして現在・・・。
 なぜか鷲巣様の脳内で地獄編が始まるという、凡百の想像の及ばぬ展開となり、麻雀界をざわ・・・ざわ・・・めかせているところです。
 赤木しげるは老いてなおかっこいいキャラの典型ですが、マンガ『アカギ』のようにはなりたくないものです。

 何が言いたいエントリーかはよくわかりませんが、「◯◯をやめたときに青春は終わる」的な名言があったなーと思ってググっているうちに、寺山修司が「生命保険に入ったときに青春が終わる」という意味のことを言っているらしく(出典不明)、ぼくの青春がだいぶ前に終わっているということがよくわかったので、鷲巣様と地獄めぐりしてきます。