ソフトウェアの品質を学びまくる

ソフトウェアの品質、ソフトウェアテストなどについて学んだことを記録するブログです。

TABOK粗読による自動化の座学 - カテゴリー1「テスト自動化の役割」(2)

 今回はTABOKガイド セグメント1・第2章、「ツールの獲得と統合」です。何だかJSTQB Advancedの勉強していた頃と同じ果てしなさを感じてきました。

www.kzsuzuki.com また、適当訳とはいえあまりたくさん書くと、知的財産権に抵触しかねないので、もう少しざっくり紹介してみます。みなさん買って読んでください。

 なおこの章は、「テストツール」の話をしているのか、「ソフトウェア開発ツール」全体の話をしているのかがどうもごたまぜに見えます。 また、「統合」の話は書いていないような。

1.2 ツールの獲得と統合

 ここでは、ツールの導入に先立っての下調べ・選定・根回しといったことが語られます。導入への(最低限の)手順は以下の通りで、説明も同じ構成になっています。
  • 自動化するかどうかを決める
  • ツールの評価を行う
  • ツールの適用について検討する
  • ツールを試行する
 ここでもやはり印象的なのは、ツール導入への慎重な態度です。まず「自動化するかどうか決める」んです。ありきじゃないんですね。
 TABOKガイドという本書の位置付けとのジレンマではありますが、この慎重さこそ、「気軽なツール導入で効率100倍アップ!」→失敗→「ツールとか役に立たねえし」という無惨なコンボを目撃してきた(であろう)著者の方々の経験を裏打ちするものなのかなあと思います。

自動化するかどうかを決める

 そもそも、本当にツールが必要?ツールじゃなくても解決できない?というところからのスタートです。
 たとえば、テスト工程がまったくもって足りない→ツールでgo!はダメです。それはツールで解決する問題ではなく、プロジェクトマネジメントやプロセスの問題。
 ツールの導入の検討には、今どんなプロセスで動いているかを把握することが必要です。標準プロセスが定着されていないどころか明文化もされていないのであれば、とりあえずツールの導入は見送ったら?まで言っています。

ツールの評価を行う

 選択の条件を決めて、ツールの候補を決めて、選定です。
 使いやすさ、カスタマイズしやすさといった一般的な評価チェックリストは、ガイドの付録になっています。この他、ソフト・ハードや、コスト・品質といった面での制限を条件にして、絞り込んでいきます。ここで候補ツールを2~4程度に絞り込んだうえで、試行です。先と同様、トライアルバージョンで手応えを確かめるのが一番でしょう。

ツールの適用について検討する

 ここでもまだツールゲットに先走らず、あと一歩。
 ツールを導入するとして、どんな人材が必要なのか、トレーニングは、スケジュールはということも検討しないといけません。また関係者への(決して期待はさせ過ぎない)アッピールが必要です。

ツールを試行する

 ここまで検討して、さあようやく、パイロットプロジェクトでの試行です。
 このように、試行に至るみちのりは長い。便利そうなツールに飛びつくのではなく、「自動化が本当に必要?」「何をどう自動化するの?」「それに見合うツールはあるの?」「えらい人のサポートは?」「トライアルではうまくいきそう?」とじっくり考えていくことが大事なのですね。