ソフトウェアの品質を学びまくる

ソフトウェアの品質、ソフトウェアテストなどについて学んだことを記録するブログです。

SQiPシンポジウム2011に参加した! - その2

 その1はコチラです。

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 1日目の後半は、「定量的分析」の2つのセッションに参加しました。
 3つ参加したかったが、1つ目の時間帯はノートパソコンの電源を求めてゾンビのようにさまよっていました・・・・・・。

定量的分析

 ここでの「分析」とは、主に品質の分析。色んなデータとその組み合わせから、品質について何がしかのことを言おう、という試みです。

C2-2:工程別検出バグ件数のパターン化による品質データ分析

 富士通クオリティ・ラボ 株式会社の宮崎さんの発表。
 基本設計→機能設計→詳細設計→コーディング というそれぞれの工程における欠陥数の推移パターンと、システムテスト以降の品質に相関を見いだせないか、という試みです。
 たとえば、基本設計で200件の欠陥が出ているのに、機能設計で30件しか出ていないとしたら、何かおかしい。そういう推移パターンの場合は、開発工程全体で見るとやはり不安定な品質を見せる、といった結果になっています。
 欠陥の摘出の分布には、成長度信頼曲線やRayleigh曲線といったモデルもあり、どの局面でどれを適用していくかも課題、とのことでした。
 難しいなと思ったのは、ある工程でたくさんの欠陥が出ていることをもって、「レビューでがんばって欠陥を叩き出して、品質を上げた」とも、「ボロボロだったので欠陥がでまくった、品質は悪かった」とも、品質を恣意的に解釈できてしまうということです。この点は、他のメトリクスと組み合わせて、それぞれの工程での出方が何を意味しているのかを判断する必要がありそうです。

C2-3:CKメトリクスの分布に基づくソフトウェア設計の質の定量的評価提案

 日本電気 株式会社の倉下さんの発表です。
 テスト工程だけではなく、設計工程でも、レビューを中心に品質のメトリクスを取ろうと試みている組織は多いと思います。わたしの組織でも同様ですが、個人的には、あまり期待していない。やはりまだ、バラツキが多すぎるように思います。
 一方、自然言語で書くことの多い設計書に比べて、プログラムのコードは文法(と、組織によってはルール)が定まっているため、書き方がある程度の幅に収束し、メトリクスと品質の相関も強いではないか、と考えています。
 この発表では、単一のメトリクスではどうも品質を表現し切れない、相関がいまいちという状況とともに、依存関係の小さい複数のメトリクスを組み合わせることで、品質との強い相関を見いだせるという結論になっています。ちょっと、結果が鮮やか過ぎる気もしましたが。。。
 恥ずかしながら、ソースコードのメトリクスに疎いわたしでは知識が足りなすぎて、深い理解には及びませんでしたが、統一的にソースコードのメトリクスを収集している組織であれば、この試みを適用することができるのではないでしょうか。

SIG

 SIGとは「Special Interest Group」の略。
 Wikipediaにはこうあります。
特定の興味ある事柄について、その道の専門家の考えを聞いたり、メンバー同士が互いに知識や情報を交換する場
 12個のSIGが用意されており、わたしは「JCSQE中級資格者の集い」という謎のSIGに参加しました。公式ページにも、具体的な説明がない・・・。
ソフトウェア品質知識体系ガイド―SQuBOK Guide

ソフトウェア品質知識体系ガイド―SQuBOK Guide

 

  JCSQEとは「JUSE Certified Software Quality Engineer」のことで、詳しくは公式ページに書いてありますが、ソフトウェアの品質に関する資格です。JSTQBのソフトウェアテスト技術者に比べてもまだマイナーなテスト。わたしは何故かこの資格の中級に認定されており、本SIGにお招きいただきました。ありがとうございます!

 ソフトウェア品質技術に興味のある方は、この試験のテキストでもあるSQuBOKを読むのがいいと思います。リファレンスなので、各項目について奥深くまで書かれているわけではありませんが、全然知らないことがたくさん書いてあったり、色々な事項が体系だてられていたりするので、この分野の全体像を把握することができます。
 なお、現在改訂中とのことで、そのうち次版も出るんでしょうね。楽しみですが、高いと買えないでしょう。
 さて、このSIGの内容ですが・・・秘密です!!!
 いや別に秘密はないのですが、いや、秘密だ!
 次回は、2日目前半のセッションカテゴリ「テスト」について書きます。

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