こちらで予告した『TestSphereの遊び方を考える会』の第1回をやったので、レポートです。
付き合ってくれたメンバーは、オムそばさん、ネモさん、ばんさん、リナさん、あさこさんです。ありがとうございます。
目的
前回紹介した通り、TestSphereは100枚のカードからなるデッキ。100枚は5つのカテゴリー×20枚からなり、それぞれのカテゴリーに属するキーワードとその説明、プラス3つの事例、という作りになっています。
使い方が厳密に規定されているわけではありません。テスト計画を使う際のブレインストーミングに使ったり、会話のきっかけに使ったり、ゲームをしたり・・・と、さまざまな使い方のアイデアがあります。
今回の『考える会』では、オンラインを前提に、どのように遊べるかをみんなで考えよう!ということで企画してみました。
いきなり「??」となる・・・
上に書いたようなTestSphereざっくり情報をみんなに伝えただけで、「さあどうよ?」って投げだしたわたしのファシリテーションが悪いのですが、遊びを考える以前にいろいろな障壁が明らかになりました。
まず、英語が・・・
やっぱり英語ですね。さくっと読めない。
一定量の英文なら多少わからない単語があっても補完できたりするのですが、それぞれが短文なので、一語でもわからないとけっこう厳しい。
というかですね、文章以前にキーワードの単語自体がわからないこともあるんですよ(恥)。
たとえば、「感情」カテゴリーの、「TENACIOUS」。
キーワード時点で「いや、何よ?」となると、ゲームの入り口にも立てていないんです。
なおこの問題はリナさん発案により、Google先生に解決していただきました。 AndroidだとデフォルトでGoogleレンズがついてるんですかね。iPhoneの場合はGoogle翻訳でこれができます。まあ翻訳の精度はいまいちですが、ざっくりわかる。
キーワードも思いのほかわからない
100枚あるといっても、テストに関係するトピックなんだから、だいたいはわかるべ!とか油断していると、「パターン」カテゴリーの「IKEA-EFFECT」(IKEA効果)が出てくる。聞いたことある気がするけれど、わからない。
英語を乗り越えても、次に知識不足にやられる感じです。
ちなみにIKEA効果とは。
自分が作ったものや関与したプロジェクトに対して、その価値を過大評価する心理効果のこと。 人は手間をかけることで思いや愛着が強まり、自分のみならず他人にとっても高い価値を持つものと錯覚する効果がある。
イケア効果とは 意味/解説 - シマウマ用語集
なるほどなるほど。
このカードが属するサブカテゴリーは「Bias」で、心理学的バイアスについてのキーワードがたくさん出てきます。確かにテストにおいては必要な知識ですね。
ですが、普通に知らないキーワードだらけです。まあこれは、お勉強の一つと捉えればいいでしょう!
カテゴリーに違和感
「技法」カテゴリーの一つに、たとえば「PAIRWISE TESTING」(ペアワイズテスト)があります。これすんなり来ますよね。
一方で、「CHARM」(魅力)。魅力? 魅力が、技法? 「KNOWLEDGE」(知識)が、技法?
これは、カテゴリー「TECHNIQUES」を暗黙の裡に「テスト設計技法」と解釈している自分たちが狭いということで、日本語でいう「テクニック」と理解した方が自然かもしれません。
「テクニック」には実は3つのサブカテゴリーに分かれています。「プロダクトレベル」「プロジェクトレベル」「個人レベル」。
プロダクトレベルにはいわるゆテスト設計技法的なものが並んでいます。「個人レベル」は、コミュニケーション能力的な個人の技術が。また「プロジェクトレベル」には、「ペアテスト」「要求工学」といった、それ以外の技術が並んでいます。
カテゴライズにちょいと癖があるので「ぬ?」となりがちなのですが、それを解釈するのも楽しみの一つです。
要は、「どんなカードがあって、どんなことが書かれているか」をみんながある程度知らないと、なかなか遊びづらいということですね。
ということもあって、まずはみんなで、100枚を一通り読んでみました。理解できなさそうなものはさっと飛ばして。すると、各カテゴリーの意味しているところがぼんやりとわかってきて、「まあ、遊べそうかも」という雰囲気になってきます。
どんな遊び方ができるのか?
キーワードを推測するゲーム
まず、アナログゲームに詳しいオムそばさんからは、「キーワードは隠しておいて、カードに提示された3つの例からキーワードを推定する」という形に基づく遊び方を、2種類していただきました。発想から形にするまでの速度が速すぎる・・・。
課題としては、(キーワードなどを隠す関係上)物理カードで遊ぶのは難しいというものがあり、電子化が必要かなあという話になりました。で、そうすると権利関係が・・・という課題も出てきてしまいます。物理でも、ちょっと工夫してうまくやれないかな?
「ダウト」っぽいゲーム
嘘をつく人とそれを見破る人に分かれるゲームです。
カードを数枚ランダムに選んで、嘘をつく人は「それぞれのカードのキーワードに対し知識や経験を有しているていで」説明する。見破る人は、どれが真実でどれが嘘かを見破る、というものです。
あるいはゲームにしなくても、キーワードについて「できる」「できない」、「知ってる」「知らない」を話すことで、メンバーがどんなスキルを持っているかの理解にもつながるかなと。
感情の起伏を語る場
「感情」カテゴリーには、さまざまな感情のカードがあります。この中から、プロジェクト当初に感じていた感情、途中段階での感情、現時点での感情を選んで、なぜそのような変化が起こったかをふりかえりの場などで語る。というものです。ゲームというよりは、コミュニケーションですね。
また、たとえば「COMFORTABLE」は positive feeling のサブカテゴリーに入っていますが、「comfortable zone」というフレーズの中では negative な意味にもなりえます。それぞれの感情は本当に positive / negative なのか、という観点で意見を交わすのも面白いのではないか、という話をしました。
オーソドックスなゲーム
1枚めくって、そのキーワード(または三つの例の中のどれか)に絡むエピソードを語る、というものです。
これは一番直観的でシンプルな使い方だと思います。キーワードを知らなければスキップしてもいいですし、わかる人が教えてもいいですし、みんなわからなければ調べて「あーーー」となるのも楽しい。
ただこれだと、カードの枚数100枚で同じエピソードになってしまいがち。中級者(何の?)は2つのカテゴリーからそれぞれ1枚ずつをめくって、その2枚の両方の要素を含んだエピソードを語る。これだと、5C2 *20 *20 = 4000パターン(たぶん)になるので、同じパターンが出ることは少なくなるでしょう。
昨日わたしが引いたのは、探索的テストにおける「TOURING」(ツアー、「テクニック」カテゴリー)と、上述の「COMFORTABLE」(快適、「感情」カテゴリー)です。
なお「探索的テストツアー」については、以下で記事を書きました。
探索的テストの実行について以前N社のKさんから「探索的テストをあまり自由にやってもらうと、過去にバグを見つけたときのパターンばかりがんばって、それ以外のことをやらなくなる」というお話を聞いたこともあり、「過去にうまくいっていた快適なやり方を抜け出すために、探索的テストにおける攻め方を分類したツアーって役に立つよね」というお話をしました。まあこれは偶然、うまいエピソードを見つけられましたが、なかなか難しいかもしれませんね。
前の人から話をつなげていく
こちらは、カード自体は1枚なのですが、代わりに「前の人のエピソードから何か1つ言葉を拾って、その言葉とカードを組み合わせたエピソードを語る」という形です。例を説明したいんだけれど、自分の回答を忘れてしまった・・・。
2枚引きより自由度が上がりつつ、話がつながっていくということで少しゲーム性もあり。個人的にはこれが一番面白かったですね。
さあ、やってみよう!
ということで、ちょいハードルはあるけれど、けっこう遊べるんじゃないかなという。
初見「これは・・使えないのでは」という不安からの、全部読んでみて「なんか、ちょっとわかるかも、チーム内のブレインストーミングとか使えるのでは」からの、おしゃべりたちのテーマ引き出しとしても使えて
— ____rina____ (@____rina____) 2020年8月1日
ゲーム性以外にもいろいろできそうだな。って感じでした
実際、こんな感じです。まあ、慣れは必要ですね!
ということで、TestSphereで遊んでみたい方、声かけてください~。5~6人集まったら遊びましょう。流れがきたら日本語化プロジェクトやるか!