ソフトウェアの品質を学びまくる

ソフトウェアの品質、ソフトウェアテストなどについて学んだことを記録するブログです。

ソフトウェアテストで学ぶ比喩表現

 みなさん、こんにちは。
 この記事は、「ソフトウェアテストの小ネタ Advent Calendar 2022」 8日目の記事です。 qiita.com

 唐突ですが、比喩表現って種類が多すぎますよね。
 文学的なみなさんは、その使い分けにお困りのことと思います。

 とすると、わたしはまったくOKではないようです。
 今日は、ソフトウェアテストを題材に、いろいろな比喩表現を学んでいきましょう。

 なお、各比喩表現の定義は、以下のサイトから引用しております。

www.nihongo-appliedlinguistics.net

直喩(明喩、simile)

定義

直喩は、「~のような」「~みたいな」などの直接的な表現を使って、わかりやすく例える方法です。

例文

商用本番系システムで、悪夢のような障害が発生したとの連絡がきた。
関係者全員、石のごとく身じろぎもしない。流れる冷や汗はまるで滝のようだ。

 これは特になじみのあるものですね。動かざること山のごとしとか。
 障害対応お疲れ様です。

隠喩(暗喩、metaphor)

定義

隠喩は、「~のような」「~みたいな」などの表現を使わずに、あるものを別のもので例える方法です。

例文

このプロジェクトは、まさにデスマーチだ。それに参加する我々は、ソルジャーである。

 言いなれている「デスマーチ」ですが、実際には死の行軍はしていない(していないことを祈る)ので、これは隠喩ですね。

諷喩(allegory)

定義

諷喩(ふうゆ)は、例えだけを示し、例えられているものが何かを推測させるものです。

例文

テスト自動化の銀の弾丸が見つかったよ。

 隠喩と似ているのですが、隠喩の例で「デスマーチ」が「プロジェクト」の比喩であることを明示しているのに対し、諷喩では何を喩えているのかを明示しないという違いがあるようです。
 銀の弾丸(Silver Bullet)も魔法の杖(Magic Wand)も、「問題を完全に解決するもの」という意味が共有されていますね。
 おそらく、パーフェクトな自動テストツールが発見されたのでしょう。うらやましいことです。

 考えてみると、プログラムに入り込んだ欠陥を「バグ」というのも、もともとは諷喩なのかな。そしてそのバグを「ドラゴン」と呼ぶのは、諷喩の諷喩だ

konifar.hatenablog.com

提喩(synecdoche)

定義

提喩(ていゆ)は、上位概念を下位概念で、または下位概念を上位概念で表す方法です。

例文

ネットワークの疎通確認するから、アドレスのリスト作っておいてね。

 ここでいう「アドレス」は、地理的な住所やメールアドレスではなく、IPアドレスのことでしょう*1
 また、ネットワークの文脈で「IPは?」と聞かれたら、その「IP」はまず、Internet Protocolというプロトコルそのものではなく「IPアドレス」のことであって、知的財産*2でも、海外調達*3のことでもないでしょう。 

換喩(metonymy)

定義

換喩は、何かを表現するとき、その事柄と隣接しているもの(深く関係しているもの)で置き換えることです。

例文

バグを再現させました!

 元ツイートが実は、この換喩だったということで・・・。

 バグは(おそらく)プログラムの中にじっとして潜んでいたはず。この人が再現させたのはあくまでも、そのバグによる「事象」の方でしょう。
 けれど、「非再現のバグ」なんてそんなに違和感ない表現ですよね。

活喩(prosopopoeia)

定義

活喩は、無生物を命があるもののように扱うことです。

例文

隠していたバグがついに牙をむいたようだ。本日が最終出勤日となります。

 怖すぎる退職エントリー。

Coming World

*1:MACアドレスなどセンもあるのか? そういえば、ARP(Address Resolution Protocol)のことを、謎のコダワリで「アルプ」って発音していたネットワークエンジニアの先輩、元気かな・・・。NECのことを「ネック」って発音していた大学の先輩もいた・・・。

*2:Intellectual Property

*3:International Procurement