はじめに
この記事は、IoTのテストに関するネットの記事を読んでいく、「IoTテスト アドベントカレンダー」の19日目です。18日目はコチラ。
プロファイル
- タイトル: 『Testing the Internet of Things: The Human Experience 』
- 著者: Gerie Owen
- 参照サイト: InfoQ
ポイント
ユーザの理解
- IoTデバイスをテストするということは、人間のユーザを深く理解すること。人間との相互作用とテストしないと、品質の判断において重要な情報が欠くことになる。
- 「ヒトの体験」(human experience)というとユーザビリティが頭に浮かぶが、もっと深い。単なる見た目や使いやすさだけでなく、ユーザの感情的、物理的、知覚的な反応や、マインドセット、バイアスといった観点で、徹底的にテストする必要がある。
- デバイスを使用するうえでは多くの失敗が考えられるので、ネガティブなテストシナリオが、ポジティブなものより重要になる。非機能要件(-ability)のテストも重要。
- ヒトがデバイスに何を求めるのか、知見を集める必要がある。新しい種類のデバイスであれば、プロトタイプでユーザの反応を観察したり、デバイスに対する印象をインタビューしたりする。
- 現実世界におけるユーザのテストシナリオをどのように設計するか。「ヒトの体験」をテストする最も効果的な方法は、人間-コンピューター相互作用の設計原理を用いることである。
ペルソナ
- 「ペルソナ」は、潜在的なユーザのモデル。年齢、性別、家庭的な背景、教育レベル、職業、社会・経済的な状況、価値観、欲求といった特徴をすべてリストアップしたもの。場合によってはペルソナが動物の場合もある。
- ペルソナから、ユーザがデバイスに期待することを引き出し、それを元にテストシナリオを作る。
ユーザ価値ストーリー
- デバイスがどのようにユーザに価値をもたらすかを、「ユーザ価値ストーリー」に基づいてテストする。
- たとえばマラソンの終盤という状況を考えて、「汗をかいている」「ゆるい上りが急坂に感じる」「群衆の声が聞こえてくる」といった状況で、ゴールの瞬間にスマートウォッチをクリックする・・・といったストーリーを記述していく。
- ペルソナとユーザ価値ストーリーに基づくテストシナリオは、物理的な期待、知覚的な期待、方向や地理に関する期待、状況に基づく期待や、バイアス、マインドセットもなどを含む。
- どんなデバイスにも複数のペルソナがあり、各ペルソナに複数のユーザ価値ストーリーがある。ペルソナとユーザ価値ストーリーを組み合わせるだけでも、多くの「ヒトの体験」シナリオが生み出される。シナリオの絞り込みのために、リスクベースドテストを使ってもよい。
所感
IoTの中でも、人間と密接にやり取りするパーソナルデバイスを念頭においた記事。マラソンランナーとしての筆者が、自分の走りをスマートデバイスでモニター・記録していたにも関わらず、そのデータが大会側に反映されていなかったというエピソードをベースに、「ヒトの体験のテスト」についての説明をしてます。具体的で読みやすい内容でした。
このカレンダーの前日の記事もシナリオテストに関するものでしたが、今日の資料は、ペルソナやユーザ価値ストーリーの導出の流れをわかりやすく説明してくれています。だいぶはしょっているので、ぜひ原文をお読みください。
この中で言及されている「人間-コンピューター相互作用」については僕は知識が全然ないのですが、これから特に重要になってきそうな分野だと感じます。
20日目はコチラです。(12月20日の0時に公開されます)