ソフトウェアの品質を学びまくる2.0

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【本】正しい伏線のあり方とは・・・?

 一口に伏線といっても、様々だ。
 一つは、「謎」という形で目立つ大岩をおいておいて、後からそれをもう一度見に行くもの。漫画でいえば『ONE PIECE』は、その種の伏線が見事という他ない。「だからドラゴンはローグタウンでルフィを助けたんですね、尾田センセイ!」と叫びたくなる。
 一方、さりげない小石がコロリとおいてあるのだけのもの。後になって実はその石がものすごく重要なことを示唆していることに気づくというやり口で、初期の『大長編 ドラえもん』で顕著である。「最初にロップルの宇宙船を直すためにタイム風呂敷を出したのはそういう理由だったんですか、藤子センセイ!」と叫びたくなる。

 

 アンジャッシュの渡部建・作『エスケープ!』は後者型で、文章の端々に、着実に小石を配置している。素人が初めて書いたとはとても思える、玄人が裸足で逃げ出さない構成なんだけど、そのストーリーはまさにアンジャッシュ節炸裂。「ここ伏線ですからね、よく見ておいてくださいね!」というさりげなさのカケラもない伏線アピールが、芸人の小説としてむしろ清々しい。楽しく読める作品だ。
エスケープ!

エスケープ!

 

  ドイツの作家 セバスチャン・フィツェックの書いたダサいタイトルのサイコスリラー『サイコブレイカー』(表紙のフォントもダサい)は、後者型の傑作。  

サイコブレイカー

サイコブレイカー

 

  つい先日、同じドイツの作家の手になるダサいタイトルのサスペンス『ラジオキラー』も伏線の嵐で、「ドイツ人ってこんな小説ばっかりなのかな」と思ってよく見たら、「同じドイツの作家」じゃなくて、「ドイツの同じ作家」だった。道理で似ている。 

ラジオ・キラー

ラジオ・キラー

 

  相手の精神を破壊するというサイコ・ブレイカー(日本名・奥森かずい)が、ひどい雪に覆われた精神病院に現れる。電話もスノーモービルも使えなくなり、金田一なみに病院に閉じ込められた医師と患者たちが、次々と姿を消してゆく・・・。

 一見アリキタリな筋書き。実際途中までは凡庸で、残酷な描写に若干辟易するが、ある時点を境に石ころだった伏線が怒涛のように転がってきて目が離せなくなる。また、このストーリー自体が「精神科医によるカルテ」であるという入れ子構造を取っており、その一工夫がまたスパイスを加えているのだ。
 カルテを学生に読ませる教授の「真実は一文一文に隠れています。各ページに隠されています。」というセリフは、読者に対するものだろう。実際わたしも2ページ目から騙されていたのだと後から知った。必ず、二度読みたくなる。(だが三度目はない)
 にも関わらず、この小説で一番驚いたのは、話の本筋とはほとんど関係のない、なぞなぞだ。
 ヒッカケ問題でも何でもないので、素直に考えてほしい。
 次の英文を一度だけ読んで、「F」がいくつあるか答えてください。
 FINISHED FILES ARE THE RESULT
 OF YEARS OF SCIENTIFIC STUDY COMBINED
 WITH THE EXPERIENCE OF YEARS



 答えは、6個です。