ソフトウェアの品質を学びまくる

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【本】宗教と科学、なんて両立させる必要はねえ!

 ニューヨークの名物宇宙物理学者、ニール・ドグラース・タイソンによる天文学エッセイ。「天文学的」数字連発で、一般にあまり理解されていない天文学を、身近な例を引きながら実感させてくれる。パルサーの密度が指貫1個分あたりゾウ5,000万頭とか。むしろ「指貫」の方がピンとこないわ(笑)
ブラックホールで死んでみる―タイソン博士の説き語り宇宙論

ブラックホールで死んでみる―タイソン博士の説き語り宇宙論

 

  エッセイの力が特に存分に発揮されているのが、第6章『太陽の中心からの旅』、そして表題にもなっている第33章『「ブラックホールで死んでみる』。ぜひ読んでみてほしい。きっとブラックホールで死んでみたくなるはず。無限八つ裂きだ。

 ちなみにこの方、先日レビューした『ゲノムと聖書』の著者・コリンズとは真逆とも言える立場である。宗教がらみのタイトルで本を書いて荒稼ぎする科学者への強い反感があるようだ。

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 そもそも、宗教に対する信頼がまったく感じられない。タイソンは不可知論者であったグールドを賞賛し、コリンズは、ドーキンスと並ぶ悲しい論者と扱っている(なお、ID論については両者がそれぞれの立場から否定している)。
『ブラックホールで死んでみる』P.434
 興味をそそる矛盾が存在する。つまり、こういうことだ。「宇宙は常にあった」という言説は、「宇宙が始まる前には何があったのか?」という問いの妥当な答えとしては認められない。ところが、多くの宗教的な人々にとって、「神は常にあった」という言説は、「神の前には何があったのか?」という問いに対する明白で満足できる答えになるのだ。
 科学と宗教の両立は、ガリレオが1615年、トスカーナの大公妃に宛てた手紙に書かれていたという次の考え方が、もっとも調和的なのかもしれない。
『ブラックホールで死んでみる』P.444

「わたしは、神は二冊の本をお書きになったのだと思います。最初の本は聖書で、これを読めば人間は、価値や道徳に関する疑問の答えを見つけることができます。神がお書きになった第二の本は、自然という本で、人間は観察と実験によってこの書物をひもとけば、宇宙についてわれわれが抱いた疑問にわれわれ自身で答えることができるのです。