ソフトウェアの品質を学びまくる

ソフトウェアの品質、ソフトウェアテストなどについて学んだことを記録するブログです。

第29回S-Openホットセッションに参加してきました

 11月17日(月)、S-Open(Software Professional Engineers' Network:ソフトウェア技術者ネットワーク)のホットセッションに出席しました。
 テーマは、「非機能要件の動向および捉え方と設計への適用」。3人の識者がそれぞれ、エンタープライズ系・組み込み系・学術からの視点でお話されました。プレゼンターの詳細についてはS-OpenのWebサイトをごらんいただくとして(11月26日現在、情報がアップされていませんが・・・)、備忘録をまとめておきます。誤認などあったらごめんなさい。

【講演1】非機能要件のトレンド

  • ドキュメントへの記述量と、発生する問題の量の2つを軸にした座標系では、「記述は少なく問題が多い」に位置するのが、非機能要件。
  • 要求分析は、ゴール志向の活用が有効。
  • 顧客は、シーケンス図もビジネスプロセス図も見てくれない!マトリクスを用いてのアクタ間関係分析が効果的。
  • 非機能要件を設計に落とし込む際、その誤りの摘出は、伝統的な(そして単純な)V字型モデルでは、最後の最後になってしまう。これでは遅すぎる。W字型(動的V字型)モデルといったアプローチが必要。
  • 非機能要件は、テスト評価できなければならない。(定量的な評価ってことと理解しました)

【講演2】情報システムにおける非機能要件とアーキテクチャ

  • 「要件」と「要求」は、意識して区別している。「要件」はシステムに実装すべき、かつ発注側と受注側で合意の取れているものを指す。
  • 非機能要件を網羅的に記述するためのチェックリストが有効。それを整理し、XMLのようなマークアップ言語で記述するフレームワークが研究されている。

【講演3】組み込みソフトウェア開発と非機能特性

  • 非機能要件は、拡張UMLで記述することが可能。そのためのステレオタイプが、十分ではないにせよ、整備されている。
  • 非機能要件は、プラットフォームとの対応付けが必要。よって、アーキテクチャを開発チーム全体で共有する必要がある。
  • 一方、セキュリティなど一部の非機能要件は、機能要件で代替することが可能。システムが許容できない機能の記述である「ミスユースケース」の利用も有効。
  • 非機能要件の評価技法は確立されていない。アーキテクチャの評価手法として、シナリオを活用したレビュー方法である「ATAM」がある。

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 わたしにとっては、知らない単語続出でした。その中でも「ゴール志向」「ATAM」の2つは、どうも基本用語だったようで・・・、勉強が必要です。会場にはゴール志向の本を読んでいた方もいるというのに、聞いたことすらないって。。。
 非機能要件や、システムインフラの品質評価の手法は、わたしの会社でも確固たるものがなく、研究中。今回のセッションで得たキーワードを元に、勉強を進めていこうと思います。
 なお、この講演で一番笑ったのが(笑うことが目的ではないが・・・)、ものすごく早口でびっくりさせられた、講演3のプレゼンター・岸教授の発言。「早い早い、早すぎるよ・・・もう少しゆっくり・・・」と思ってた講演の中盤、

 「ここまでのんびり話しすぎたので、ちょっと駆け足で行きます」