ソフトウェアの品質を学びまくる

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【書評】英文法をがんばりたい人は『サバイバル英文法』を読むべきだ、絶対。

 「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という言葉がありますね。もらった魚はその場しのぎにしかならない。けれど、釣り方がわかれば、継続的に魚を得ることができる。

 『サバイバル英文法』は、英文法の「釣り方」を教えてくれる本です。タイトルから漂う「とっさの一言」的な、あるいは「ここから一番近いバス停はどこですか」的なイメージとはまったく異なる内容の良書。なぜこんなタイトルになったのか、ちょっともったいないなと思うくらいです。

 この本では、従来の教科書が文字通り教科書的に説明してきた「暗記物」っぽい英文法を、一歩引いた観点から説明してくれます。
 たとえば現在完了といえば「経験」「継続」「完了」のように、パターンを覚えました。現在形も「習慣」「不変の真実」のように、パターンを覚えましたよね。
 では、「経験」「継続」「完了」や、「習慣」「不変の真実」の底に流れているものは何なのか。そこを知ったうえで、パターンを導くのが正しい理解なのです。
 なぜshouldは「~べき」なのか。それを理解するために、まずshallの意味を理解し、それが過去形になったshouldの含む意味を理解するのが正道なのですよ!

 英語を長い間勉強していると、受験英語ではわからなかった本質的な部分が少し見えてきた気になります。この本はその「本質的な部分」をバリっと言葉にしてくれる。そこが小気味よい。
 たとえば、進行形。本書では、こういいます。

5秒おきに中断・再開できない動詞は進行形にできない*1

 まずこれを基準にすると、smellが普通は進行形にならないであろうことがわかる。たとえばいい香りのするスープが、突然香りを放つのを止める、とは考えづらいです。
 この「5秒」は便宜的なものだし、もちろんネイティブがこの判断を意識的に行っているわけではないでしょう。でもまずはこの基準で慣れていくと、普通は進行形にならないはずのlive(住む)やresemble(似ている)が、次のような進行形を取りうることに納得がいくのです。

  • I am living in Osaka.
  • He is resembling his father more and more every day.

 進行形を取りうる動詞とその例外を一つ一つ覚えるのではない。まず「幹」を腹に落としてから進む
 これはテクニックではなく、言葉の本質を学ぶことなのだと思います。

 僕がこの本で一番「おお!」となったのは、地味ですが、so。soをこれまで「とても」という意味で使っていた僕は、soとveryって同じものだと思っていました。
 ですが、soの本来の意味は「それほど」。懐かしの表現「so A that B」(BであるほどAだ)はまさに、その意味になっています。
 I'm so happy.も「それほど幸せだ」という意味であり、その「それほど」がどれほどなのかは、前後の文脈や話者の態度から判断する、ということだったのです。

 取り扱っている文法は、冠詞、完了形、仮定法、分詞構文など、受験生(だった人)なら「うげっ」と感じたであろう難物の数々。
 この本は、文法に嫌気がさしているであろう高校生に絶対読んでもらいたいですね。普通の英文法書で一から読み直すより、100倍効率がいいと思います!

*1:この太字部分が落ちていましたので追記しました。一番大事な部分を・・・申し訳ありません。